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『哲学の教科書』中島義道(講談社学術文庫)



 哲学と聞くと何か高尚な学問の気がしますが、本書はその哲学をわかりやすく、筆者の実体験を交えて説明したものです。哲学とはあくまでも自分固有の人生に対する実感に忠実に、しかもあたかもそこに普遍性が成り立ちうるかのように、精確な言語によるコミュニケーションを求め続ける営みのことです。例えば時間・因果律・魂・自由・意志・存在・善・美などが「何であるのか」を徹底的懐疑の目で、身を粉にして考え抜くことです。

 本書ではまず哲学の最大の問題である「死」について考えます。ボクは子どもの頃から死後の世界について言葉では言い表すことの出来ない恐怖を抱いていました(筆者もそうだったようです)。「死」とはこの世界からの永遠の離別であり、自分の身体も楽しい思い出もすべて消えてしまうことだ、何と恐ろしいことだろう、どうすればいいのだろうと、夜皆が寝静まった部屋の中でひとり頭を抱えていました。そんな深刻な悩みを両親に打ち明けることもできずに(そもそも死後の世界がどうであるかなんて、明確な答えがあるわけではないのだから、両親に打ち明けても仕方がない)、ボクの心の中に今でもとりついています。先日呼吸器をつけたおばあちゃんのお見舞いに行ったとき、「早く死んで楽になりたい。ご飯が食べられないことほど辛いことはないよ。おじいちゃんのところに私も逝きたい」と言って涙ぐんでいるおばあちゃんを見ました。そのとき「死」とは怖くないもの、現実の苦しみから救ってくれる楽なものなのかなと思ったりしましたが、やはりそんな考えを持つことは出来ませんでした。また「死」について頭の中がぐちゃぐちゃになるくらいわからなくなってしまいました。そんなとき手に取ったのが本書です。話が横にそれてしまいましたが、本書の意図は「哲学とは何であるか」ということを、哲学の個々のテーマから見ていくことであり、その最初の導入部分で「死」について洞察しています。

 次に哲学とは何でないかを説明することによって、哲学の全体像を浮かび上がらせようとしています。哲学≠思想・文学・芸術・人生論・宗教・科学であることを詳細に語りつくし(背理法による)、本文は哲学の問い(時間・因果関係・意志・私・他人・存在)に移行しています。ここで本書に興味深いことが書かれていたので紹介しますと、哲学科に所属している有名無名の大学教授に正真正銘の哲学者がいるかというと、これまた唖然とするほど少ないそうです。哲学の才能とは数学や音楽の才能と同様きわめて特殊なもの、つまり全人口の一パーセントも満たない人に割り当てられ、それがなくても生きていくのに全然さしさわりのない一つの特殊才能である。真の哲学者とは自我・時間・他者・存在・意志・自由、その他あらゆる哲学的難問に決定的に躓き、引き回され、悩み続けるというもの。これは本当に稀だなと思いました。常に「どうして?どうして?」と身近なことからあらゆることまで子どもの目で世界を見続けることは、大の大人にとっては不可能に近いと。

 さらに本文では、哲学は何の役のもたたないと筆者は言い切っています。しかし、それは確実に世界の見方を変え、有用であること、社会に役立つこと以外の価値を教えてくれるものだとも言っています。人は技術として役に立つこと(科学と呼ばれるもの)だけに関心があるのではないから、哲学を学ぶ、そこに哲学の意義がありそうです。




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大学受験は知識量の差が合否を分けると言っても過言ではありません。 感覚的には基礎7割、応用3割。 出るところに的を絞り、基礎知識を徹底的に頭に叩き込めば、基礎の7割で点数を落とすことはありません。 それだけで世の中のほとんどの難関大学に合格できてしまいます。 基礎を侮ることなかれ。 記憶術をマスターすれば、物事を抜群に記憶できることは勿論のこと、頭の引き出しにしまった知識を素早くアウトプットできます。 大学受験だけでなく、それこそ死ぬまで役立つ一生ものの知的財産が身につくのです。

同志社大学商学部を1点差で不合格になった私ですが、受験時代に記憶術に巡り合えていれば、人生が変わっていたかもしれません。

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